ようこそ、保健所情報支援システムへ。~平成28年度地域保健推進事業(全国保健所長会協力事業)~

保健所と放射線被ばく

専門家意見

保健所と放射線被ばく

独立行政法人 放射線医学総合研究所 明石眞言

 保健所と放射線との関わりというと、診療用エックス線装置備付届、変更届、廃止届等、病院での放射線に関する医療法上の申請・届出が浮かびます。しかしながら住民の健康危機管理、環境保健また衛生を担うことが保健所の業務であれば、放射線災害や事故でも公衆衛生の観点から対応が求められます。災害時に備えた調整と体制作りを行う上で、保健所として、基本的な放射線と被ばくに関する知識を持っていることは不可欠です。住民等からの問い合わせにおいては、医療者が対応する場合もあるかもしれませんが、実際に求められることは、被ばくや放射線物質による診断や治療というより、何処に行けば問題が解決されるのかの指導であり、住民に影響が及ぶ放射線事故時には被ばくの低減化への対応とリスクコミュニケーションだと思います。
放射線は原子力発電所などに限らず、様々な場所で使用されています。保健所に「放射性物質が出て来てしまっていますが、どうしたらよいでしょうか。」、「放射線に被ばくしたかもしれません。」、「被ばく線量を知りたいのですが。」、「放射性物質が、目や口に入ってしまいました。」等の問い合わせがあった時を考えてみます。まず、放射性物質が存在している可能性があるのか、被ばくは事実か等の判断が必要です。そのためには、放射線は何処で使われているのか、どのくらい量があるのか、被ばくするとどうなるのか等の放射線と被ばくに関する極基本的な知識が必要です。連絡を受けた際にどんな情報を取るべきかの参考にもなります。例えば、放射線を扱っている病院、事業所、研究所等での非密封RI(ラジオアイソトープ)による事故では、開封前バイアルから、どういう放射性物質がどのくらいあったのかを知ることで、最大摂取量からの被ばく量を知ることができますし、X線発生装置の場合は、機器名、管電圧と電流がわかれば、およその被ばく量はわかります。
もう一つ重要な事は、近郊のどの機関が必要な測定を行ってくれるのかを把握し、これらの機関との連携することです。実際事故が有った場合には、近くの協力して頂ける機関や施設は必要です。また、管理下にない放射性物質を見つけた場合には、原子力規制委員会に連絡の上、指示を受けることになりますが、これらの場合も実際の対応には協力機関からの支援が重要です。 “
万が一の際のリスクコミュニケーションは、地元保健所の重要な仕事です。放射線事故は、医学・環境ばかりでなく、社会経済に大きな影響を及ぼします。チェルノブイリや茨城県東海村の事故からは、リスクコミュニケーションにおける地域保健所の役割が大きいことがわかっています。放射線は、人の五感で感じることができない、放射線の影響がすぐには現れない等から、不安が大きいことが特徴であり、正確な事故情報とその影響を説明することが求められます。保健所のもつ専門性、情報収集機能、また行政でありながら医療機関でもあることから、放射線事故への対応への積極的な対応が望まれます。

放射性物質又はそうと思われる物質を発見した場合
◎原子力規制委員会 原子力規制庁 電話 03-5114-2112(直通)
原子力防災課事故対処室 FAX 03-5114-2183

スクラップ等から発見した場合
<相談先>
○(社)日本アイソトープ協会 医療品・アイソトープ部放射線源課
電話03-5395-8031
○(株)千代田テクノルRI事業本部 電話03-3816-2531
○(株)アトックスRI事業部 電話03-5540-7952
○ ポニー工業(株) 営業開発事業部 電話 06-6262-2451

以上「管理下にない放射性物質を見つけたら」(原子力規制委員会原子力規制庁)から引用

急を要する「放射線被ばく・汚染事故」発生時の医療及び防災関係者向け
○ 放射線医学総合研究所 被ばく医療ダイアル(24時間受付対応窓口)
 電話 043-206-3189

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