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鳥インフルエンザH7N9の感染症法上の取り扱いについての質問へのお答え

鳥インフルエンザH7N9の感染症法上の取り扱いについての質問へのお答え

筑西保健所 緒方剛

本ページ URL http://www.support-hc.com/index.php?go=GWSqlk

注 下記QAは、国が感染症法上の取り扱いの変更を公表する前に行われました。(一部改編)

問 (公衆衛生関係者) 
鳥インフルエンザH7N9の感染症法上の取り扱いを、現行の4類ではなく、指定医療機関への入院、医療費公費負担や疫学調査のできる2類などに直ちに変更するよう、国に申し入れるべきではないでしょうか。

答 (緒方)
この問題の取り扱いについては、国の検討を待ちたいと思います。

感染症対策における公衆衛生学的手法としては、隔離、検疫、接触者調査、集会制限などがあります。これらの手段について、外国の例などを引いて全てを否定する意見もありますが、私としては、ウイルスの性格がよくわかっていない段階などにおいては一律に排除をする必要はないと考えます。

一方、これらの手段は人権を制限する側面があり、また最近は感染管理や治療手段が発達してきているので、強制的対策の必要性、有効性と人権のバランスをよく考えていく必要があります。具体的には、感染症の重症度、感染性、疫学状況、医学的手段や感染管理の有効性などを総合的に検討して、随時臨機応変に取扱いを決めていくべきであると思います。

なお、価値判断や不確定性も関係するので、医学的エビデンスのみならず、社会的、文化的な面からの影響もあり得ます。欧米とアジアとの取り扱いが同一でないことは、必ずしもおかしいと限りません。

鳥インフルエンザH7N9についてはまだ不明な点が少なくありませんが、現段階ではひとひと感染があったとしてもごく限局的であること、抗インフルエンザ薬を初期に投与すれば有効であることなどから、とりあえず4類としている段階であると思います。たとえこのままでも感染症法上は疫学調査が可能であり、また生命に関わる事態であれば、患者さんは通常は自主的に入院すると考えられます。

もちろん、今後定められた手続きを経てH5N1などと同様の取り扱いに変更されることを否定するものではありません。しかし例えば、結核ではまん延を防止するため必要があるとは必ずしも認められない患者については、入院勧告がなされていません。鳥インフルエンザH7N9についても、合併症のない軽症患者で自宅から外出せず抗インフルエンザ薬を服用し、家族への啓発も行われているなら、まん延を防止するための入院勧告の必要性は必ずしも高くないと考えられます。また、現時点では、新型インフルエンザ等対策特別措置法に定める緊急事態には該当していません。

保健医療側としてはまずは、症例定義にあてはまるような例では感染症指定医療機関などのしかるべき医療機関で診療すること、接触者の調査を確実に行うこと、しっかりと感染防護策をとることに配慮したいです。保健所が患者の搬送・疫学調査などにおいてどのような防護策を採るべきかなどについては、今後国立感染症研究所などから示されると思いますが、とりあえず下記を参照しています。
http://www.cdc.gov/flu/avianflu/h7n9-infection-control.htm
http://www.hpa.org.uk/webc/HPAwebFile/HPAweb_C/1317138620910

技術機関として所内のPPEなどの状況確認、新規異動職員を含めた研修、医療機関と連携など行いながら、国などの指示に備えたいです。

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