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オミクロン株の潜伏期間、大半は3日以内で、デルタ株の潜伏期間よりもさらに短い

オミクロン株の潜伏期間、大半は3日以内で、デルタ株の潜伏期間よりもさらに短い

新型コロナウイルス対策等推進事業」(事業分担者:田中英夫)

【目的】
 国内のSARS-CoV-2感染は2021年12月から22年1月初旬の間にデルタ株からオミクロン株にほぼ置き換わったと考えられる。オミクロン株感染者の潜伏期間に関する情報は乏しい。そこで、これを明らかにし、デルタ株の潜伏期間の長さと比較することを目的とする。

【方法】
 当推進事業活動の一環として大阪府藤井寺保健所、吹田市保健所、茨城県潮来保健所の3保健所が実施したCOVID-19積極的疫学調査データから、2021年12月20日から2021年1月10日までに発症し診断された陽性者の中で、感染した場所と感染した日が1日内に特定できた者23人を潜伏期間算定用の対象とした。対象者は積極的疫学調査の中で推測した感染ルート以外の感染曝露機会が見出せなかった者に限った。
 得られた潜伏期間を、当推進事業活動の一環として茨城県潮来保健所および大阪府藤井寺保健所の積極的疫学調査データを用いて実施した、2021年9月までにデルタ変異株感染が確認され、潜伏期間の算定が可能であった121例の検討の結果と比較した(デルタ変異株の潜伏期間結果の詳細は別紙参照)。

【結果】
 平均潜伏期間は2.6日(最短1日、最長5日)であった。対象者のうち、オミクロン株陽性者を含むL452Rマイナスと判定された者16人とそれ以外の者7人で、平均潜伏期間に明らかな違いは見られなかった(2.7日対2.4日)。対象者の91.3%(21/23)は、潜伏期間が3日以内であった。また、ワクチンを2回接種していた者16人とそれ以外の者7人で、平均潜伏期間に明らかな違いは見られなかった(2.3日対3.3日)。これに対し、デルタ株の潜伏期間は平均3.7日で、オミクロン株の平均潜伏期間はデルタ株よりさらに短かった。

【考察】
 観察期間には国内のCOVID-19陽性者の過半数はオミクロン株に置き換わっていたことから、オミクロン株の判定結果が出ていなかった7人の多くはオミクロン株であったものと推測される。この対象者の平均潜伏期間2.6日は、当事業班が算出したデルタ変異株感染者のそれ(3.7日)に比べて、さらに短かった。121例のデルタ株の潜伏期間を対数正規分布に当てはめて推定した97.5%点は6.9日で、その95%信頼区間は5.9日と8.0日の間であったことから、オミクロン株にほぼ置き換わった今の日本の新型コロナウイルス感染者の潜伏期間の97.5%点は、7日を下回るのは確実と思われる。
現在日本で用いている濃厚接触者に対する自宅待機要請期間の14日間は、2020年冬から春に流行した株の潜伏期間(平均値が5~6日)の最長期間を想定している。今回の結果は政府が現在検討している自宅待機期間の短縮の方向性を支持するもので、濃厚接触者のワクチン接種歴に関わらず、待機期間の大幅な短縮が可能と思われる。
また、オミクロン株の短い潜伏期間を踏まえると、感染連鎖リスクを低減する方法の1つとして、飲み会などのマスクをしない状態で人と接する機会は、5日程度(観察した潜伏期間の最長値)空けて設定することが考えられる(飲み会などで自分が感染したとしても、次の飲み会の機会の前に発病すれば、次の飲み会をキャンセルできるので、感染連鎖を起こさないで済むから。)

文責:大阪府藤井寺保健所 田中英夫 
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デルタ変異株感染者における短い潜伏期間 
事業協力者
茨城県潮来保健所 緒方剛 
2021年1月13日

背景
デルタ株感染者における潜伏期間の査読のある報告は、これまで中国南部からのみである。本研究の目的は、デルタ株の潜伏期間を、非デルタ株との比較において、調査するものである。
方法
 対象は、茨城県潮来保健所、土浦保健所および大阪府藤井寺保健所管内において2021年9月までに報告されたCOVID-19感染患者であって、ウイルスに曝露された日が1日に特定されているワクチン未接種者である。このうち、デルタ株患者は本人または接触者からL452R変異が検出された者であり、非デルタ株患者は2021年6月7日までに報告された患者またはそれ以後に報告されたL452R陰性の患者である。
デルタ変異株患者群と非デルタ株患者群において、ウイルス曝露から発症までの期間(潜伏期間)を計算した。ベイズ統計の枠組みを用いて、データにパラメーター分布を適合させ、推定値を求めた。
結果
対象のウイルスに曝露された日が1日に特定された患者は、214例であった。
このうちデルタ株群121例の潜伏期間は平均3.7日であった。赤池情報量基準(AIC)がガンマ分布およびワイブル分布より小さかった対数正規分布をデータに適合させた場合、推定平均値は3.7(95%信用区間3.4-4.0)日であった。性、年齢、接触時食事の有無、接触場所によって、推定値に有意な差は認められなかった。非デルタ変異株群103例の潜伏期間は平均4.9日であり、対数正規分布を適合させた場合の推定平均値は5.0(95%信用区間4.5-5.6)日であった。マンウィットニー検定でも、差は有意であった(p値=0.000)。対数正規分布を適合させた場合の潜伏期間の97.5%点は、非デルタ株群の10.4(95%信用区間8.6-12.7)日に対して、デルタ株群では6.9(95%信用区間5.9-8.0)日であった。
考察
デルタ株感染者では非デルタ株に比較して、潜伏期間が短かった>
デルタ株については8日間程度に短縮することが適切と考える。または、オミクロン株では、さらに潜伏期間が短いことから、7日以下が適当と考える。

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